048764 ランダム
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PATON  GIRL!

PATON GIRL!

またしても、ここですか、、、

 うちらはこの日も懲りずにビーチに行った。
 
 すると、ジミーちゃんがうちらの前にやって来た。
「憶えてる?ジミーちゃんのこと」相変わらず真っ黒でちっちゃくて変わってない!!
「もちろんだよ!!」
 ジミーちゃんは社長さんだから、チェアもビールも全部ただでくれた。
お酒飲み放題!!いえーい!!

 そのうちおーちゃんもやって来た。前はロン毛だったのに、坊主になっていた。見た目、ただのチンピラだわ。

おーちゃんに言われた。「この前来た時、ひどいよ。おーちゃんと遊んでたのにダムの方に行っちゃって」

、、、はて。だむとは?


「憶えてないの?タトゥーたくさんあるやつ。ジミーのこと。あいつ、今はダムっていうの」

はあ、、、なぜでしょうか、、、

よくわからないけど改名したらしい。

 その場ではやっぱりゴメンねというしかなかった。
 その夜はおーちゃんたちと遊びに行く約束をした。

 そして連れて行ってもらったところは、、、

 昨日のレストランじゃん!!!思いっきりかぶってるし!

 昨日も来たよとはもちろん言えるはずもなく、お姉ちゃんと目を合わせては苦笑いしながらご飯を食べた。

 あれからおーちゃんもジェットスキーを買ってオーナーになったといっていた。若そうなのに、この二人は社長かよ!!

 次の日も、その次の日もジミーちゃんのところでイスに座った。
 そして、最後の日。

「ねえ、ちー。さっきからバイクが行ったり来たりしてるんだけどさあ。」

??

「あのバイク乗ってる人、、、ジミーじゃないの?」
「え?ジミーってあのジミー?」
「よく見えないんだけどさあ、そうっぽくない?」

 たしかに、さっきからビーチの後ろをバイクが行ったり来たりしていた。
特に気にはしていなかったが、お姉ちゃんにそういわれると、なんとも気になった。でも、自分から確かめに行くのは絶対にいやだった。

「ちょっと見てきて」
お姉ちゃんを派遣してみた。

 なかなか帰ってこなかった。後ろがめちゃくちゃ気になる!!でも振り向けない、、、

 あたしはジミーのことが気になってた。でも、おーちゃんの話を聞いていて、前回のことが原因でおーちゃんとジミーの仲が今あまりよくないらしいというのは気付いてたし、ジミーはどうしてるの?とは聞かなかった。

 会いたいけど、自分から探すのは絶対いやだった。なんだかわからないプライドみたいなものがあった。会うのなら、ジミーがあたしを見つけてよ!!、、、みたいな。

「ちー!!こっちおいでよ!」

お姉ちゃんが後ろの方から呼んだ。心では待ってました!!て思ってるくせに、呼んだ?しょうがないなあ、ダルイけどいってやるかみたいなふりをしながら後ろに歩いていった。

 ジミーだ。くしゃくしゃの顔して笑ってた。
 そして始めに言った言葉は、、、

「太ったね!!」


コイツ、、、殺す。

 そう。二年前までガリガリだったあたしは一年間のアメリカ留学でころころと太ってしまってた。それでももとがやせ過ぎだったから今ちょうど普通の体型くらいなのに。

 ていうか、タイ人て気を使わない。思ったことは隠さずに口にする。
、、、ムカつく。

 そういうジミーもなんだか真ん丸くなっていた。タイの男の人はみんな本当に細いけど、ジミーはちょっと顔とか丸くなってた。

「来てるの知ってたよ。みんな言ってたから。でも、全然会いにこないから、ずっと様子伺ってたよ。何度もこことおったよ。やっと気付いたの?」

まったくわけわからん。

 おーちゃんが微妙な顔してたのは見えていたけど、ごめんね、あたしはやっぱりジミーといたい。そう思った。

「今はジミーじゃない。ダムって言う。ダムって、黒んぼって意味だよ。僕、みんなより黒いでしょ?」

うん。ジミーは、いや、ダムは本当に真っ黒。、、、ん?

 始めに見たとき両腕にあったタトゥーはもうすっかり手首までびっしりになってた。まるでロンT着てるみたいに。
体も見せてくれた。タトゥーどこならないんですか???てくらい体中びっしりはいってた。

、、、ちょっと引くんですけど、、、

 ダムはあとで、といって待ち合わせをして一度どこかへいってしまった。
あたしはいそいそとホテルに帰って夜のデートの支度をした。もちろんお姉ちゃんも連れて帰った。

 待ち合わせの場所にはダムとケンがいた。ケンはビーチボーイを辞めて違う仕事をしているといった。ビーチで働かなくなったケンはすっかり日本語がへたっぴになっってた。

 そして4人でご飯を食べに行った。いった場所は、、、

え~~~~!!またここですか!!

 3回目です、、、同じレストランに毎回違うタイ人と一緒に来るって、、、お店の人たち、「何??!!あの日本人の女の子は!!」
て思ってるんだろうな、、、

 なんともびみょーでしたが、そこのご飯はとてもおいしかった。もしかしたら、今このレストランがボーイズの中ではやってるのかもしれないなあ、、、

 そのあとバーで飲みながら、ダムはずっと
「大しゅき~~!大しゅき!」と言っていた。絶対ちゃんといえるはずなのに、コイツ、、、かわいい、、、

 なんだか、はなれていた時間の方がずっと長いのに、ダムといると長く付き合った恋人同士みたいに落ち着いた。

 でも、ダム、って呼ぶのは最後までなれなかった。ずっとジミー、って呼んでたから。

 その日はプーケット最後の夜だったので、当然ダムは朝まで一緒にいようと言い出した。連れて行かれたのはなんとも見覚えのあるゲストハウス、、、

 前回ダムときたのはまあ、いいとして、実はおーちゃんとも一度だけ来たんですよね、、、

 もうすっかり御用達ですわ、、、最低ね、あたしったら。

 夜、ケンとおねえちゃんとバイバイして、朝、二組別々の部屋から出てきておはようって。

 姉妹で、、、気まずいったらないわ!!

 それでうちらの今回のプーケットは終わりになった。ダムとはたった一日しか一緒にいられなかった。

 でも、、、あたしは内心、プーケット、さようならだね。
って思ってた。毎回帰る時はまたすぐ来るぞー!って思ってたのに、今回
これでもういいや。って思ってた。そんなことはもちろんダムにはいわなかったけど、心の中で、ダム、ばいばい。ってつぶやいた。

 あたしの心はこれから始まる日本での生活でウキウキしてたのです。
働いて、日本で遊んで、素敵な恋、するぞー!!ってそれでいっぱいいっぱいだった。



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